先天性トキソプラズマ症で生まれた新生児の治療薬は日本にありますか?

先天性トキソプラズマ症の治療には薬を使いますが、現在国内に認可が下りたものはありません。

トキソプラズマ治療薬のうち、スルファジアジンとピリメタミンに関しては、「厚生労働科学研究費補助金 創薬基盤推進研究事業 熱帯病治療薬研究班」に参画している医療機関では入手可能ですが投薬期間(だいたい1歳まで)全ての分を提供してもらえるわけではありません。
なので、はじめの提供分を飲みきってしまった後は、トキソプラズマ治療薬は自費で個人輸入したものを飲むほかはありません。
早く認可が下りれば…とも思いますが、それはすぐには無理でしょう。
治療薬の成分を作っている製薬会社が日本にはないので、 国産のものを作ろうとしたら、べらぼうにお金も時間もかかる話だからです。
薬を認可するためには治験が必要で、治験はすごくお金がかかりますから、そんなリスクを冒してまで、トキソプラズマの治療薬をつくりたい製薬会社が日本にはいないのです… (つまり、トキソプラズマ治療薬は儲からない薬ということです。)
だから、トキソプラズマ感染児が増え、需要が多くて儲かるなぁという皮肉な社会にならないかぎり、 国内で喜んで治療薬を作るよという製薬会社は現れないかもしれません。
しかし、2012年6月現在、厚労省はこれらの薬を請け負ってくれる国内の製薬会社を、一生懸命に募集してくれています。
名乗りを上げてくれる企業があれば国産の治療薬を手に入れられる日が来るのも夢ではないのです。
しかし、もし国産の治療薬がないままだとすると、トキソプラズマ治療薬は海外から自費で輸入するしかありません。
だいたい、赤ちゃんに使用する分量で、一年間で40万円強くらいかかります。
今の日本では、助成金は一切ありませんから、経済的に苦しい方が病児を出産した場合は、どうなるのかわかりません。 投薬治療は1歳過ぎまで続けます。
追跡調査をしている文献が少ないので、この一年間という投薬期間もじつは経験則だそうです。
海外がみんなそういう治療方針だから…長く投薬した論文はないし、そういう研究もされてないし…という、まだ研究の余地がある話のようです。
が、しかし、今のところ、何しろまれな病気として見なされていますから、日本では急速に研究が進むことは難しいでしょう。

先天性トキソプラズマ症でうまれる赤ちゃんはどのくらいいるのですか?

監修:長崎大学 森内浩幸

妊娠中の感染予防のための注意事項-11か条

11か条をかわいいイラスト付きでプリントサイズにまとめました。 トキソプラズマやサイトメガロウイルスの予防だけでなく、妊娠中の様々な感染症からの予防について書かれています。妊娠中の方も、周りに妊婦さんがいる方も、知っていただきたい内容です。

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